奥日光(片品村) 六軒山 (1723.3m) 2011年3月19日

所要時間 6:43 林道入口−−6:54 斜面に取り付く−−7:00 西尾根に乗る−−8:47 1504m標高点で休憩 9:12−−10:14 六軒山 11:08−−12:23 西尾根を離れる−−12:30 林道入口

概要
 香沢林道入口より西尾根を往復。尾根末端は崖で登れないため仁下又沢左岸を少し遡上してから尾根に取り付く。最初から積雪があったため尾根上の道の有無は不明だが、植林区間が多く一部道形らしき筋も見られた。下部から自然林→杉植林→自然林→唐松植林と標高が上がるごとに植生が変わるが、どこも木が茂って展望が得られる場所は少ない。危険個所は無くアイゼン、ピッケルは不要。山頂直下は東側を林道が巻いており仁下又沢側にも林道があるようだ。山頂は北東方向の展望が良い。直近に新雪が30〜40cm積もり、スノーシューでもラッセル状態で疲れた!


 ずいぶん前に日光笠ヶ岳〜沼上山を周回したときに六軒山のすぐ近くを通過しているが、この時は日帰りにしては厳しいロングコースで六軒山に立ち寄る時間的余裕はなかったのであっさりとパスしている。しかし標高は1700mを越えるし登山道が無いマイナーピークでいつかは登りたい山だった。林道があるので無雪期でも登ることは可能だが、ゲートがあって一般車は入れないので延々と林道を歩かなくてはならず、あまりにもつまらない。だったら雪がある時期に林道を使わずに登るのが面白い。下界で杉花粉が酷いこの時期ならなおいいだろう。もう3月も下旬で雪も落ち着いた頃だろうとの考えもあった。

 M9.0の東北関東大震災からまだ1週間、こんな時期に山に行くのは不謹慎だが私にとってはこれがないと仕事のストレスが発散できない。それに全国民が自粛モードでは商売をやっている人は生活していけない。多少は地方にお金を落とすのもいいことだろう。巷ではガソリン不足で狂乱状態だが、こちらは偶然にもそうなる前に満タンにしていたので問題なし。六軒山までなら安心して往復できる距離だ。

 金曜夜に出発したがガソリン不足のためか車が異常に少なく、いつもは渋滞する武蔵野浄水場西側の交差点がガラガラ、西武新宿線の踏切もガラガラだった。まあ、関越道はそこそこ車が走っていたが。高速道路上よりもガソリンスタンドが営業しているサービスエリアの渋滞が凄かった。営業しているのは半分程度、下界ではごく一部しか営業していなかったからよくやっていると言えるか。 

 赤城高原SAで仮眠、ここも車は少なかった。その影響か4時間半の睡眠の予定が6時間寝てしまって寝坊だ。沼田ICで降りて尾瀬方面へ。早朝でまだ営業開始していないにもかかわらずガソリンスタンドは車が数珠つなぎ。沼田でも東京と同様の状況らしい。椎坂峠付近から積雪が見え始め雪の量は充分と見た。ただし日当たりの悪い路面にも雪が見られるようになって下り坂は慎重に走行。平坦地になれば凍結個所は無く鎌田を通過、尾瀬への分岐を通過すると雪が増えてきた。道の両側は雪が積もって路面を除雪されたまだ汚れていない雪が土手のようになっていた。これは最近積雪があった証拠で、週の半ばは冬型が強まって日本海側は降雪があったが、こんなところまで本格的な雪だったらしい。山の中の積雪は充分だろうが問題は雪質だな。

香沢林道入口前広場 香沢林道入口と西尾根末端
震災の影響か工事は休工中だった 施工業者の詳細

 香沢林道入口は一度歩いているので場所はすぐ分かったが、困ったことに路肩に寄せられた除雪された雪が邪魔をして林道入口の広場に車を乗り入れられない! 近くには邪魔にならず車を置ける場所は無いし、白根温泉の駐車場を利用するのも気が引けるしで迷ったが、路肩の雪は場所によってはあまり多くなく、試しに蹴飛ばしてみたら崩せるではないか。これも新雪だからだろう。古い雪だと氷化してカチカチになっているはずだ。せっせと足で雪をどかして車1台が通過できる幅を確保、広場に入った。本来は直売所の駐車場だと思うが直売所はまだ営業休止中で雪に埋もれていたので問題ないだろう。DJFがここをスキーで通過した時は林道は工事の轍があったようだが今は休工中の札が出ていた。これも東北関東大震災の影響か。

橋を渡るとゲート 下又沢左岸を上流方向に向かう

 最初から林道は雪に覆われ、つぼ足で雪を踏むと沈むため最初からスノーシューを装着した。橋で仁下又沢を渡り尾根に取り付こうとしたが、末端は崖になっていて取り付ける場所が無い。地形図を見ると東に行ったところで少し傾斜が緩むようなので、左岸の杉植林帯を上流に向かう。この辺の杉はまだ花粉を飛ばしていないようで目のかゆみは全く感じなかった。

小鞍部目指して登る けっこう急斜面
尾根に出た 自然林が続く

 右手の斜面を見ながら歩き、広い谷地形の場所で登れそうな傾斜が登場したので斜面に取り付く。結構な傾斜だが雪の段差があってジグザグに高度を上げる。そして難なく西尾根に到着した。行きには気づかなかったがここには赤テープがあったので利用者が他にもいるようだ。まだ雪はそれほど深くなく、広葉樹林の地面は笹は無く無雪期でも問題なく歩けそうだった。樹林の背は高く木が邪魔になることもない。ただし進むにつれて徐々に積雪が増えてきて、重い新雪でスノーシューでも結構な足の負担だ。残雪期の締まった雪なら六軒山など簡単に往復できるのだが、こんな雪質が続くとかなり苦労しそうだ。雪の状況を完全に読み違えた。

杉の植林帯に突入。花粉は飛んでいない 1145m小ピークを北側から巻く。道形らしき筋あり

 標高が1000mを越えると尾根北側は杉の植林帯となり、杉は冬でも葉が茂っているので植林の中は積雪が少なく、落葉した自然林よりも格段に歩きやすかったため風情は無いが杉林を進む。1145m小ピークも北側の杉植林帯を進んでピークてっぺんは通らなかった。この辺は雪の下に道形らしき筋が認められた。植林されているくらいだから道があっても不思議ではない。

植林境界を登る 植林中の方が新雪が少なく歩きやすい

 その先で斜面が立ちあがって登りがきつくなり、尾根が広がって下りはルートの見極めが難しい場所だが、これだけ新雪が積もっていれば往路でくっきりとラッセル痕が刻まれるので下山用目印を残す必要は皆無だった。さらに積雪が増えてスノーシューでもコンスタントに足首近くまで潜るようになり、今シーズン初の本格ラッセルで足がなかなかついていかず、大腿四頭筋が悲鳴を上げる。広い尾根は2重山稜となっており、その北側の尾根上を上がった。

再び自然林 日差しが暖かい
熊棚はあちこちに見られた 重雪のラッセルがきつい

 標高が1350mを越えると植林帯が終わって落葉広葉樹林帯となりラッセルがさらにきつくなる。しかし尾根がはっきりして直上に乗るとやや雪に締まりが出てきた。今までは積雪ができるだけ少ない杉植林帯を選んで歩いたため尾根直上ではなく北側寄りを歩いたが、日当たりの影響で雪質が悪かったようだ。ただ、尾根上はマシになった程度で1歩踏みだすとコンスタントに足首近くまで沈む。これが軽い雪だったら平気なのだが。

標高1504mで休憩 標高1504mより先は尾根が狭まる

 標高1500mで傾斜が緩んで1504m肩になるが、ここでたまらず休憩。まだ出発から2時間だが無雪の2時間とは体力消耗の程度が段違いだ。この付近から北斜面の植林が再開されるが今度は唐松だ。この先、ずっと唐松植林帯は続いた。

燧ヶ岳 まだ熊棚あり
尾根上は唐松植林との境界 立派なブナ
西尾根から見た尾瀬(クリックで拡大)
西尾根から見た上州武尊〜尾瀬(クリックで拡大)
西尾根から見た志賀高原〜上越国境(クリックで拡大)

 休憩を終えて出発。しばらくは細長い平坦な尾根が続くが、ここは波打った雪庇の連続で苦労して進む。スキーは全く使えないだろう。その先も尾根上は階段状の雪庇が覆っており軟雪に悩まされる。尾根北側の方がマシかと思ったがこちらも積雪が多く、結局はどこを歩いてもそれなりのラッセルが必要だった。途中、狭い範囲ではあるが唐松樹林が開けて展望が得られる場所があり、真っ白な至仏山が印象的であった。あれより北側から平ヶ岳の間のエリアは今年行きたいところだ。

六軒山直下の雪に埋もれた林道 六軒山山頂
山頂のリボン(署名) フジオカ.T.K どっかで見たことあるなぁ 山頂のリボン(日付) 2009.5.10 8:20
六軒山から見た尾瀬〜奥日光(クリックで拡大)

 山頂部が近づくと尾根はシラビソに覆われるようになり、やがて南側から雪に埋もれた林道が登場、すぐに六軒山山頂に到着した。ふかふかの新雪でスノーシューでも足首まで潜り、休憩中にスノーシューを脱いだらズボズボ潜ったので新雪がかなり吹き溜まっているようだった。西側と南側はシラビソ、北と東は少し開けた唐松植林で、北に下れば展望を楽しめた。最高地点近くのシラビソの幹には赤いリボンが巻きつけてあり「フジオカ.T.K」の署名があった。日付は2009.5.10だからこのエリアではギリギリ残雪期だった時期か。DJFはリボンは残さなかったらしく新しい目印は無かった。

 さすがに疲労したので山頂で大休止。西風を避けて日当たりが良い場所を求めてやや北側に下った東斜面の雪を均して休憩した。顔面が日焼けしそうな眩しい日差しで、予報だと下界では20℃近くまで上がるとのことだが、こちらでは冷たい風が吹いていた。でも気温は間違いなくプラスだろう。このまま雪が解けて明日冷え込んでくれれば雪が締まって明日の山が楽になるのだが。

 しばしの休息後山頂を後にする。自分のトレースの上を歩けるし下りだから下りは楽だ。でも登りにかかると僅かなラッセルが苦しい。おまけに雪が緩んでスノーシューが団子になる。アイゼンとは比較にならないほど雪が付くので重さも格別だ。まあ、天気は快晴で気温も高めで寒さは無いので文句は言えない。下りでも1度休憩を入れようかと思うような消耗だったがもうちょっとと自分に言い聞かせて歩き続け、西尾根を外れて急斜面を下り川べりへ。香沢林道に出るが足跡は私のものだけだった。

 

2000m未満山行記録リストに戻る

 

ホームページトップに戻る